春琴

先に読むか、後に読むか。

世田谷パブリックシアター三軒茶屋にて、本日観劇。
楽しみにしていた、久々の舞台。


頑張って仕事を一段落させ、
キャロットタワー内にある会社に昨日出来上がったトレカを納品し、
余裕をもってパブリックシアターへ。


パブリックシアターは初めてだったので、
ひとりで行くのが若干不安だったが、
来場者のかなりの割合がひとりの様子でちょっとホッとする。


席は三階の最前列。
かなり高いし、目の前にある手すりが低い。
席も狭いので、立ってつまづいたりしたら下に落ちそうだった。(きっと高所恐怖症の人は無理だな)


『春琴(しゅんきん)』
谷崎潤一郎春琴抄」「陰翳礼讃」より

[出演] 深津絵里、チョウソンハ、ヨシ笈田/
立石凉子宮本裕子、麻生花帆、望月康代、瑞木健太郎、高田惠篤/本條秀太郎(三味線)
[演出] サイモン・マクバーニー

光や陰、映像を得意とするらしいサイモン・マクバーニーの演出は、
必要最小限の照明と蝋燭の光が印象的で、
赤羽にあった祖母の家の、二階への軋む階段を思い出した。


始め春琴は深津絵里が操る人形なのだが、
これが生身の人間を経て深津絵里自身になる。
これはとても印象的な演出だった。


役者の手元から後ろの大きな壁面へと映像が続いて行く。
(目に見えないものは自分勝手な脚色の中で、どんどん大きくなる。美しくなる。見えないからこそ、だ。)


引き戸を開ける度、「ふーっ」と呼吸音がする。
(すべての事柄が生々しくなる。蝋燭の光と相まって異常な感情が目の前で形を持つ。)



滑らかで、心地良い舞台だった。